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【読後感】 合コンの社会学

合コンの社会学 北村 文 / / 光文社新書

30代後半になっての合コンは、相手側もたいてい30代後半になってきました。若くて30代前半。その理由が本書で解明されます。

本書でいうところの「制度」としての合コンは、王様ゲームのようなひと世代昔の遊びではなく、偶然の出逢いの偽装であり、「磁場」が生じます。
そこでは「ジェンダー」による「協働」作業が必須。「祖母が入院した日に無理矢理合コンに連れていかれ、ふさぎこんでいるところを気遣ってくれた幹事の男性と結婚することになった」というような「都市伝説」がよもや自分にも。
そのためには「ルール」を逸脱せず、携番やメアドを交換する「マナー」も怠らない。「仕事の付き合いで行ったらたまたま彼女がいたんです」という偶然。偶然を装うには「社会的階層」にもばらつきが必要。スケープゴートには「未来のない大学院生」をメンツにまぎれ込ませましょう。かわいらしさを装う女性は「何か髪についてるよって言われたら『とってもらおうと思ってたのに』って言うような。そういう技をもってる子は強い」。

合コンという手段が目的化され、「品評会」「反省会」が楽しみとなります。そうなると戦線から離脱するにも結婚して「抜ける」ほかに、得るものが無いからと「降りる」ひとも現れます。そこに「留まる」非婚層でモラトリアムが構成されているわけです。

文中、「30代未婚男」を「ステレオタイプ」と斬ってくれたのは嬉しい。
格差社会を「勝つしかない」と「勝たなくていい」とに分離したのも慧眼。

「出遭えればいい、結婚できればいい、というわけではない。そこに、物語がほしい」は言い得てます。「外国人」や「年齢差」を「物語の要素になりうる」とするのも、実態をよく見据えてます。
客観視されて心地よい、連休にはうってつけの1冊。
図書館で借りました
by top_of_kaisya | 2008-04-27 23:59 | 読/見/観