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【読後感】 日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか

日本人はなぜキツネにだまされなくなったのか
内山 節 / / 講談社現代新書

学部生時分に「情景のなかの労働」を読んだ記憶があります。
読まされた、といった方が正しいかも。課題書として。
どんな本だったか記憶にまったく残っていないのは、労働経済学に関心が薄かったため。
でも著者の名前は覚えているもので。珍しい名前でもないのに。

「キツネにだまされた」との民俗的な話題で1冊の本に仕上がるとは。と期待したものの、やはり半分は哲学のお話。著者の専門分野ですから、どちらかといえば哲学的アプローチに力が入ってます。

そういう難しい部分は端折っても、充分楽しめます。キツネにだまされなくなったのが昭和40年、という中途半端さも斬新。その裏づけを検討していくと、昭和40年が戦後、山村では特に時代の分岐点だったことが明らかになります。経済的に、科学的に、マスコミ的に、教育的に、と分析が進み、死生観、自然観へとつながります。

民俗学的切り口も当然ありますが、人工林の広がりや焼畑農業もキツネが居づらくなった要因に数えられています。さらにだまされる能力というのも。
これだけ拡げられるのも哲学の作用でしょう。難しいけど。図書館で借りました
 
by top_of_kaisya | 2008-01-06 23:40 | 読/見/観