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【読後感】 ひよっこ茶人の玉手箱

ひよっこ茶人の玉手箱 ― インターネットでお茶を愉しむ
松村 栄子 / / マガジンハウス

「インターネットでお茶を愉しむ」との副題。
新聞広告では「デジタル系お茶人」のコピー。
7年前は、切口がネットだというだけで新味だったのかもしれません。
振替休日に読むにはもってこいの1冊。

本書でいう「インターネット」はメーリングリストを指します。そこで知り合った「デジタル系」なお茶を習っている人々との、MLを通じての情報交換や、オフ会での交流などで著者の知識・認識が深まっていく様が書かれています。
著者は芥川賞作家ですが、エッセイ風な書き方は得意ではないのか、浮き足立ってみえる箇所が多々目に付きます。その分、桜の枝から茶杓を削る際の情景描写の素晴らしさはさすがです。
「インターネット」を副題にする割りに、大半は著者の茶道に対する見方・考え方を占めています。一般的な、茶道の所作に対する懐疑的な目線です。その点では「<お茶>はなぜ女のものになったか」ほどの読み応えはありません。

7年も経つと、MLだのBBSだのがネットの中心だった頃が懐かしく、今でこそSNSがやたらと取り上げられているのも数年経てば同じように振り返られるシステムになるのでしょう。「ポケベルが鳴らなくて」だって鳴らないどころか無くなるとは予想せずに作っちゃった曲だし。
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SNSといえばmixiでは茶道関連のコミュニティーだけでかなりの数になります。
大学茶道部のコミュが無かったので作ってみたら、現在までに学生・卒業生10名が参加してくれました。
また、近場の裏千家ということで入ったところ、管理人がいつの間にかmixiをやめてしまい、私が代わって管理しているコミュもあります。こちらも当時数名だったのが現在は40名を超えています。

本書に登場するMLには私も以前参加していました。院生時分ですので8年ほど前まで。したがって著者の投稿も読んでいたことになります。
札幌でもオフ会を開いたことがあります。4名という少ない参加者ながら、盛り上がったものでした。そのなかのひとりは、本書にも登場しています。
私は院修了と同時に大学のメアドが使えなくなったので、それを機にMLも抜けたことにしました。著者は情報の洪水を楽しんでいますが、私はとりとめもなく流れてくる些細な投稿が逆に煩わしく感じたものです。「結婚おめでとう」投稿がダラダラと続いたのにも辟易しました。ロータリーのJRICMLのように、管理者が目を光らせ、趣旨から逸脱したところで元に戻せるようでなければ、ML運営は正常化できません。最近ではJRICの投稿具合も調子がよいとは言い切れませんが。

図書館で借りました
by top_of_kaisya | 2007-02-12 15:29 | 読/見/観