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人形浄瑠璃 文楽「曽根崎心中」


「曾根崎心中」は16年前に国立文楽劇場で鑑賞して以来。
当時は大学2回生でした。札幌から大阪へ移り、カルチャーショックを受け続けておりました。なかでもこの国立文楽劇場の存在は、吉本新喜劇が毎月上演されているのと同じくらいの衝撃でした。
人形浄瑠璃は、日本史を勉強すれば登場します。が、現代では歌舞伎全盛、せいぜい通が好む能や狂言、というのが日本伝統芸能に対しての認識でした。認識外の文楽が毎月上演される定席が、国立の施設として大阪にあることに、驚きと興味がわいたものです。

そんなわけで文楽がどういうものか、などの教養よりもまず観に行こう、と日本橋まで走りました。「勧進帳」「夫婦善哉」「源平布引滝」「伊勢音頭恋寝刃」と、内容を問わず、上演されているものを観る、という姿勢で臨んだものです。そんなんだから、ようわかりませんでした。わからないけど、こんなに地味な伝統を国が守っていることに感謝の念すら抱いたものです。

そのなかに「曾根崎心中」がありました。やはり大雑把なストーリーしか頭にはありません。ただ舞台となる曽根崎は、キタの繁華街、お初天神通りです。学生のコンパに使いやすいお店が多く、よくお世話になりました。日本で有名な心中モノの舞台に居酒屋が並び、その地が曽根崎心中の舞台だということだけは皆知っていながら、そこで酔っ払い、吐く、という日常性。300年前の出来事が現在に、自然に溶け込んでいる様が、北海道出身者には羨ましかったものです。

今回の鑑賞にあたっては、事前に知識を詰め込んでいるので、16年前とは違います。味わう部分は味わえました。ただいかんせん、2階のB席。舞台が遠い。人形の動きは辛うじて認められるものの、表情はさすがに見えません。大阪ではかぶりつきの席で見られたのに。

では会場の教育文化会館が満席か、といえば、1階は空席がちらほら、2階にいたっては後ろ半分は殆どいません。
文楽に馴染みが無い土地だから仕方ありません。最初に30分かけて出演者がそれぞれ太夫や三味線、人形の動かし方などを解説してくれました。これはわかりやすいものでした。
 
by top_of_kaisya | 2006-10-04 21:07 | 読/見/観