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【読後感】 ぐれる!

ぐれる! 中島 義道 / 新潮新書

これも八光書房で買いました。
新書というのはハードカバーに比べればはるかに安い本ですが、毎月何冊か出版しなければならない都合からか、時たま内容の非常に薄いものがあります。本書はタイトルから薄さ加減がにじみ出ていたので、新刊時には興味がありませんでした。古書店で安く売られていると、その値段なら買ってみるか、という気が起きたのと、ちょうどタイトルに近い気分だったのと。本との出逢いというのはやはりタイミングでございます。

さて同書、タイトルの薄さ通り、読みやすいものですが、薄いとはいえません。それどころか、「ぐれる」をテーマに180ページもよく書けたものと感心します。いかにぐれることが難しいか、からぐれる達成感、果ては子育てにもぐれる効用がある…大半はまともに捉えてはいけない話です。歯に衣着せぬとはこのことで、女性の容貌やひとの出自など、ドカドカ土足で踏み込んで評論を展開します。それもこれもぐれることを恐れてはいけない、ぐれるべきだ、を説くため。

ぐれるための条件では、「ぐれた社長」というのは”いないこともないのでしょうが”違和感あるものだそうで。「ぐれた赤ちゃん」「ぐれた猫」などと同列。本来少年にぴったりしたものが「ぐれる」という言葉なのですと。また「オリンピックのマラソン中にぐれる」ことも「おれ、きょうの午前中ぐれていた」というのもふさわしくないと。確かに。
では私は「ぐれた社長」にはなれないか、というと、それよりもグレードが上がって「すさむ」という類語を紹介しています。あぁ、これだ。
 
by top_of_kaisya | 2006-08-02 23:41 | 読/見/観