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THE・ガジラ 「ひかりごけ」

12月の「ヒカルヒト」、1月は「クラウディアからの手紙」と鐘下辰男モノが続いております。
これではすっごいガジラフリークのようですが、たまたま上京のタイミングに鐘下モノが
かかっているためで。
簡素な舞台。にじり口のような出入口がひとつ。蝋燭の
効果を高めるためでしょう、照明がギリギリまで落とされていました。学生の頃、大槻能楽堂でよく蝋燭能を
観ましたが、あんな感じ。こちらは幽玄さを期待するもの
ではなく、強いて言えば生命の極限さ、となりましょうか。

カニバリズムといえば佐川氏。

佐川君からの手紙 ― 舞踏会の手帖
唐 十郎 / 河出書房新社

野火
大岡 昇平 / 新潮社



ですが、ここでの人肉を食する状況は、エロチックなそれとは異なり、大岡昇平の「野火」。
それも戦時中とはいえ、敵と対峙している場面と遭難した船内との違いがあります。意見が
分かれ、ふんどし姿の男たちが取っ組み合いますが、それは見ようによってはエロティシズム
結局のところ佐川氏に戻ってしまいます。カニバリズムが、極限下か性的動機におけるものか
は、こうして混在してしまうのでしょう。

パンフには道新編集委員を務めたノンフィクション作家
合田一道氏がこの芝居に寄せた文が掲載されています。
鐘下氏も本道出身。
下北沢で本道ゆかりのお二方に北海道の歴史を教わった気分。


「ひかりごけ」事件 ― 難破船長食人犯罪の真相 合田 一道 / 新風舎

ザ・スズナリにて  ■ 公式サイト
 
by top_of_kaisya | 2006-03-03 21:28 | 読/見/観