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【読後感】 映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?

映画館の入場料金は、なぜ1800円なのか?
 斉藤 守彦 / ダイヤモンド社

タイトルがやや軟らかい割に、内容は経営書並み。映画館経営論と配給を中心とした流通論、現行1800円の入場料に至るまでの経緯としては映画史も勉強できます。入場税が一時期、税率150%まで上がったり、その税金自体が平成元年まで存在していたことも、驚き。
ドサクサで値上げし続けた結果の1800円も、3Dの付加価値で案外まだ値上げの余地があるやもしれない恐ろしさ。本書は「アバター」ヒット前だけに。一方で割引料金の普及で、定価1800円も忘れられがち。まともに1800円払うのも馬鹿馬鹿しい。私も近年、上限で1200円。1000円が普通だと思うと、1800円はやはり高い。でも、いまだにその定価で映画を観ているひとが18%も占めるそうで。

米メジャー系配給会社に対しては、映画館を代弁して「何かにつけてスケールの大きさと、巨費を投じたけたたましいまでの宣伝展開でおなじみのハリウッド映画だが、今、国民はそうした映画よりも感情的な接点のある日本映画を選択している」。確かに仰々しいPRには辟易。とはいっても、そこに例示されている邦画は「ROOKIES-卒業-」「劇場版ポケットモンスター アルセウス超克の時空へ」に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」。

「劇場内での撮影行為は、犯罪です」のくねくねトレーラーにも、苦言。
公取の勧告には「被害者」は誰なのか、と疑問を呈します。
料金を安くすることこそが最高のサービスなのだと、誤った認識をしてしまっている。安易な価格競争は、一時的に歓迎はされるものの、行き着く先は共倒れであることは、他の業種を見ても明らかだ。
我が業界も、これくらいは言っておきたいもの。図書館で借りました
 
by top_of_kaisya | 2010-05-03 23:11 | 読/見/観