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月曜日の動静/上川出張

 そこにあるのに、それを表す言葉がないために認識されないものがある。裏を返せば、見過ごされていたものも、名称が与えられることで顕在化する。そうした例の一つが「里山」だろう。人と自然が共存する、日本の原風景ともいえるたたずまいが、この一語で広く認識されるようになった。
 97歳で亡くなった京大名誉教授の四手井(しでい)綱英さんはその語の生みの親だった。1960年代に言い出した。「山里をひっくり返しただけですが、これがぴったりきた」。のちに広辞苑にも載り、言葉とともに里山の豊かさは世に知られていく。
昨日の天声人語です。続いてもうおひとかた、日高敏隆先生逝去の話をつなぎ、
 森林の破壊や生き物の絶滅は、なお加速度的に進む。旅立たれた碩学(せきがく)お二人を「後顧の憂いなく」と見送れないのが、どうにも残念である。
で〆ます。
ところで時事通信は、こういうニュースを配信しています。
11事業、500億円を廃止
 農道整備、里山交付金-事業仕分け初日・行政刷新会議

 政府の行政刷新会議(議長・鳩山由紀夫首相)は11日午後も、2010年度予算概算要求の無駄を洗い出す「事業仕分け」作業を続行し、農林水産省所管の「農道整備事業」(要求額168億6700万円)や「里山エリア再生交付金」(84億600万円)などの廃止を決めた。
議論がどれほど里山について割かれたかは、不明。
でも、廃止は廃止。廃止ありきだから仕方ない。
そういう仕分け人の姿勢こそ、先生方にとって後顧の憂いでありましょう。
同じく仕分けられた里山には次の事業もあります(共同通信)。
事業仕分け結果 (26日) 
 行政刷新会議による26日の事業仕分け結果の詳報は次の通り。

 ▽環境省
 【国連大学拠出金】「持続可能な開発のための教育10年構想事業費」と、来年10月に名古屋市で開く生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向け里山の良さを伝える「国際SATOYAMAイニシアチブ」のため計3億円を概算要求。「効果や目的の説得力が乏しい」との指摘もあったが、予算要求通りとなった。
ここでは随分理解があるように書かれています。
ネットの生中継では、仕分け人から飛ぶ「いまどき里山なんて言葉が通じるのか」などといった責め句を伝えてくれました。
ゴミ分別やマイ箸など、環境問題がトレンドのようになっています。地道に活動しているひとがいる一方、多くが意外なほど総括的な視野を持っていません。「景観」への関心も薄さも、偏りのひとつです。
国土を保全する。そのために必要な事業・作業は何か。そう考えられる仕分け人を選出するための仕分けが省かれたのは、残念。開発行為を敵視した仕分け人を並べましたが、実際に説明会等を通じて住民と接している我が業界の方がよほど「費用対効果」優先の仕分け人よりも環境を論じられるかと。
午前 技術部。旭川へ出張。
午後 帰社。営業統括部長。
夕方 最近恒例になった出張頭痛。