【読後感】 ホームレスと自立/排除

ホームレスと自立/排除 ― 路上に〈幸福を夢見る権利〉はあるか
 笹沼 弘志 / / 大月書店

「自立」ってなんだろうね
という議論で先般の青年施策のあり方検討委、盛り上がりました。
有識者の方々の考えは興味深い。結婚したら自立といえるのか、働き出したらでよいのではとか。

本書はタイトルにある通り、自立がテーマのひとつです。「他人の世話にならずに自分ひとりだけで生きていくこと」を自立と定義づけると、生活保護を出し渋る役所のため公的な世話になっていない多くのホームレスはすでに自立しているといえるし、その自立しているホームレスの自立支援というのは矛盾だ、と著者は指摘しています。

自立を支援するためのビッグイシューは、そんな矛盾を指摘したためか、本書にはまったく登場しません。
少年たちによるホームレス襲撃事件について、日雇い労働運動のあるリーダーは「未来の自分を殴る」と表現した。われわれはホームレスの人々のなかに未来の自分を見ざるをえないからこそ、彼らを嫌悪するのだ。
中小企業家同友会でビッグイシューの話をしても、関心は示されません。
大企業の経営陣は退陣すれば済むけど、中小零細の経営者はヘタすれば明日にもホームレスに転落する危険性をはらんでいます。明日は我が身、ではないけど、そういう対象として社会事象を見る必要もあるのでは。といったところで「そうならないようにするのが社長の務めでしょう」。
おっしゃるとおり。そうならないように頑張っている社長を同友会でたくさん見てきましたが、頑張ってもそうなってしまった社長もまたたくさんいるのも事実。そうなってしまったホームレスをそれまでと、蔑んで見下すのもどうなのか。

本書を読むと、ホームレスに求められる憲法上保障された権利から生活保護に関する役所側の誤解、ホームレス自立支援法の解釈など、学者の研究を机の横で正座しながら見学させられている気分になります。
誰もが使える公園なのに、ホームレスが使うとなぜ悪いのか。散歩の邪魔をしてるとでもいうのか。占有していると苦情を言う近隣住民の方が、公園を我が物としようとしているのではないか。
という論調。わかりやすくいえば。これももっとも。論理上は。
そういう論を300頁に渡って展開していると、資本主義の否定に行き着きます。曰くみんなが私有地を持てば土地を持てないひとも出てくるではないか。持てないひとは地球上に行き場が無くなるではないか、ホームレスはそういう行き場の無い人々なのだ、と。
図書館で借りました
この辺で、あまり真剣に付き合う本ではないことに気付きます。
 
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by top_of_kaisya | 2008-07-10 15:06 | 読/見/観 | Trackback | Comments(0)
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