【読後感】 貧困襲来

貧困襲来 湯浅 誠 / / 山吹書店

著者はホームレスを「野宿者」と呼び、ネットカフェ難民を「ネットカフェ生活者」と書き換えます。両方共に賛成。プロフィールでは「ネットカフェ難民」になっているのが残念。

講演で聴いた著者の論調そのまま。貧困を放置し悪化させる要因への憤りがよく伝わります。しかしそれは関心のある読者に伝わるだけ。「札幌にホームレスはいないでしょ?」という市民には、熱過ぎて敬遠される恐れもあります。
運動している人間は、運動していない人間を「ノンキに、お気楽に生きている」「考えていない」と決めつけがちだ。「おまえはこの問題をどう考えているんだ!」といった調子の突きつけや、その背景にある独善性・閉鎖性が、人々を運動から引き離し、遠ざけている面がある。
市民運動の独善性は、市民運動に携わらない市民がいつも感じています。その際の「市民」ってなんだろう。

米国の「生活賃金(リビング・ウェッジ)条例運動」も紹介されています。入札におけるダンピング規制が主たる目的ですが、その先にあるのは「生活できるだけの賃金を労働者に」という視点です。

やわらかく貧困を論じる本にお目にかかったことがありません。データを淡々と示すか、本書のように現場の生々しさを熱く伝えるか、です。著者の言う「溜め」(余裕)を持った貧困解説書が期待されますが、でも余裕がないから貧困なわけで。

著者は活動的で、述べているところ間違いはありません。もし著者の経歴に会社経営の経験が加われば、論調に真実味が増すものと。今朝の朝日新聞1面でもご活躍でした。図書館で借りました

連休にはうってつけの1冊。
[PR]
by top_of_kaisya | 2008-04-30 12:18 | 読/見/観 | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://syachou.exblog.jp/tb/8760882
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。