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【読後感】 中年童貞

中年童貞 ―少子化時代の恋愛格差― 渡部 伸 / / 扶桑社新書

著者は全国童貞連合会長。
執筆時497名の一大勢力では、会長が唱える脱童貞(改革派)に対し、「無理に童貞を捨てる必要は無い」とする保守派が台頭。さらに保守派も分裂し「童貞で苦しむくらいなら性欲を無くそう」と過激な方向へ向かう解脱派が登場します。
そんな内情と合わせて、童貞側から見る女性像及び、女性と軽くつきあえる男性像は、興味深く浮かび上がります。

中学生の心理を中年の論理で解明していく過程が楽しめますが、その心理を持っているのが中年だという現状が、さらに奥行きを深めます。

理想の女性像を現実に当てはめようとしてもうまくいくはずがない。うまくいかない分、理想が純化され、幻想となる ― まさに。私の場合、松たか子さまという理想を掲げているものの、そうそう松さまが桑園のジャスコを歩いてはくれません。
では松さま似でなければ譲れないかといえば、そこまでのこだわりも無く。「芸能人でいえば」をつきつめていくと松さまに絞られただけのこと。消去法の結果。「松たか子はヘビースモーカー」との評判を女性セブンなどで読めば、嫌煙派としては失望します。それでも頑なに松さまを押し通すのは、ほかの芸能人を選び直すのが面倒なのと、タバコを吸う松さまはメディアに登場しないから。本書でも、三次元の女性よりも二次元の女性に価値を置く傾向が描写されています。ヤニ臭い松さまよりも、パナホームのCMで太極拳を踊っている松さまの方が間違いなく良いのです。

本書の終章「初めてのデート」最後の3ページに泣けるかどうかで、異性への立ち位置がわかります。昨晩観た「街のあかり」とダブらせて読むと、よりリアル。図書館で借りました
 
by top_of_kaisya | 2007-08-24 18:06 | 読/見/観