北海航測 ma'kasih bu 「藤谷康晴ライブドローイング」
北海航測 ma'kasih bu presentsマカシブ第一弾、無事終了しました。
藤谷康晴ライブドローイング
― 半透明肉体関係 ―
日時 : 5月27日(日) 開場9:30 10:00~18:00(入退場随時)
会場 : 北海航測マカシブ(中央区北3条西17丁目 北海航測ビル1階)
午前に北海道新聞、午後は北海道通信が取材。
のべ入場者数は、40名程度はいったかと。
8時間ぶっ通しで描き続ける集中力もすごい。
今回の手法はトレーシングペーパーにカーボン紙をあて、爪でこすりながら描くというもの。
事前に壁に貼り付けておいた大判のほか、床や天井にもA4版を貼り付けてはこすり、描いていきます。
藤谷氏を紹介してくれたエスキスの旦那が終了3分前に到着。撤収直前には道新の後藤記者も様子を見に来てくれました。感謝。
■ 藤谷氏プロフィール
□ 北海道建設新聞 (2007.5.8)
□ sichihukuさんのブログ(北海航測マカシブ訪問記)
□ 北海道新聞夕刊 (5.23)
□ アルバイト北海道サイト「夕方NEWS」 (5.24)
□ 北海道新聞夕刊 (5.28)
□ 北海道通信 (5.29)
□ オーマイニュース (6.1)
異空間でライブドローイング
現代アートと建設業者が社会貢献で出会う
27日(日)、新進作家・藤谷康晴氏によるライブドローイングが「北海航測ma'kasih
bu(マカシブ)」で開催された。
■ 建設業者が現代アート?
会場の「マカシブ」は、北海道で航空写真測量・建設コンサルタントを営む「北海航測」の自社ビルにある。
同社は四十数年前に購入したアナログ図化機(航空写真から地図を作る機械)を保管してきたが、時代のデジタル化に伴い、今年はじめに撤去。巨大な機械の跡は、3フロアに渡る。これを有効活用しようと、同社社長はテナント募集とあわせて、一般向けに貸し出す方針を打ち出した。地域住民はもちろん、若手作家の作品発表の場として提供できないか、と。
札幌都心部には、ギャラリーがあふれている。が、どこも賃料は高額。フリーターをしながらセンスを磨く若者には、会場費で出費をおさえたいところ。そんな声を伝え聞き、若手作家には格安で貸し出そう。建設業には似つかわしくないが、現代アート発表の場の提供で社会貢献、というのも面白いではないか。土建業者が思いつく社会貢献事業といえば、ゴミ拾いや交通安全運動。そんな紋切り型の発想へのアンチテーゼにもなる。道立近代美術館の裏手という立地も、アートだ。社長の思いつきは、突っ走った。
会場名の「マカシブ」は、「間貸し部」から取った。いや「間貸し部」という部署名自体、おかしい。しかも同社には実在しない。営業部は本業の公共事業を扱い、テナント交渉には総務部があたる。社長がひとり、その空間を貸し出そうというのだから、いわば仮想事業部。間(ま)を貸す部。だから「間貸し部」。これをカタカナにして検索すると、意外や、インドネシア語で「ありがとう」を意味する「ma'kasih bu」
(マカシブ)が多量に検出された。
これ幸いに、「ありがとうと言われる企業を目指す」などと取ってつけた社是を組み上げ、PR活動を開始した。
とはいえ根っからの建設業者。現代アートの何たるや、などわからない。近所でその分野に詳しいカフェのマスターに相談したところ、噂に違わず、会場を探しているという作家をすぐに紹介してくれた。マカシブこけら落しを担う藤谷康晴氏との出会いだ。
■ ライブドローイング
現代アートの分野でも、まだ一般に浸透していないのがこのライブドローイング。描き続ける作家の姿と、出来上がっていく作品を鑑賞する。今回藤谷氏は、1日だけのライブドローイングを行った。10時から18時までの8時間。飲まず食わず。トイレも極力おさえる。先月は2日間行った。まさに体力勝負だ。
趣向も、会場やインスピレーションによって変化する。先月は、壁一面に貼り付けられた黒い模造紙に、白墨で描き続けた。今回の表現手法は、トレーシングペーパーにカーボン紙をあて、爪でひっかきながら造形していくというもの。自らが意識しない線が出ることで、作品の幅が広がる。大判のトレーシングペーパーは、前日に貼り付けておいた。当日は大判に描いた後、A4版を壁や床、天井に貼り付けては、カーボン紙をあて、ひっかく。天井の場合は、脚立に乗っかる。
日曜、マンションに囲まれた閑静な場所。カーボン紙をひっかく音が部屋に反響する。
現代アートというだけあって、抽象的な作品が並ぶ。まさにカーボン紙の上から引っかいただけのようなものもあれば、見ようによっては今回の副題「半透明肉体関係」から発想される妖しい雰囲気を醸し出すものも。尚、この半透明とはトレーシングペーパーを指す。
ひっかけば、カーボン紙はボロボロになる。その都度、新たなカーボン紙を取り出す。カーボン紙を口に咥え、脚立に乗りながらトレーシングペーパーを天井に貼り付ける。建設業と現代アートのミスマッチを狙ったつもりが、これは我々の本業に近い作業だ。
■ 成功・そして今後のマカシブ
地元ブロック紙で記事として紹介されていたこともあってか、客の入りは予想以上だった。また、「北海航測」という消費者からかけ離れた企業にとって「社名は知っているけど何をしている会社か知らなかった」という地域住民向けにもよい宣伝になった。
無味乾燥な事務室。照明も設備も手を加えていない。備品を撤去した跡、そのまま。そんなギャラリーらしからぬ部屋での現代アートは、設備が整った会場で見慣れてきた常連客には新鮮に映ったらしい。「マカシブ」の評判は上々。
次はどんな作家が「マカシブ」で面白い作品を見せてくれるのか。間貸し部長兼任の社長は、建設業者という我を忘れてワクワクしている。
by top_of_kaisya
| 2007-05-27 20:41
| 私的所感