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【読後感】 戦争広告代理店

ドキュメント 戦争広告代理店 ― 情報操作とボスニア紛争
  高木 徹 / 講談社

以前から読みたかったけどタイミングを逸した典型的な事例。書評の切抜きをみつけて読みたかったのを思い出しました。

もう4年も前の本。しかも話は92年に始まったボスニア紛争。
色褪せた内戦、といっては語弊があります。でも「そういえばそういう内戦があったなぁ」と、ようやく思い出すくらい過去の話になっているのでは。いまだに「結局どういう事情で内戦になったのか」が理解できていないひとも多いはず。私も恥ずかしながら、本書を読んでみてようやく系統立てて把握した部分が多々あります。

忘れられた国、といえば、昨日のJanさんの母国・アフガニスタン。本書では「民族浄化」などのキーワードでマスコミを動かさなければ世論に見向きもされないというボスニアの切なさが下地になっています。「ボスニアって、どこ?」という最初の質問は、愚問ではありません。
同様にJanさんの祖国も。昨日の講話ではあまり触れていませんでしたが、別の講演では「国連の介入が無ければ世界中から忘れられてしまう国」と自国を称していました。

さらに昨日のJanさんの話が本書とダブってイメージされるのは、単にちょうど読みかけていたという環境だけではなく、本書で重要な役割を担う「PR」の難しさが印象深かったもので。
私の、紹介スピーチでウケ狙いが滑ったのは、セルビアの首相が大統領を罵倒して目立とうとする目論みが外れたのに似ています。次元は相当違いますが。
Janさんが緊張して、特に力を入れて読み上げるべき部分で日本語の発音に詰まってしまったところも、PR企業のプロが絡んでいれば逆に効果を生み出すことができたのかも、とか。

ボスニア紛争の映画では「ノー・マンズ・ランド」やクストリッツァの「ライフ・イズ・ミラクル」「アンダーグラウンド」を思い出します。この本を読んで、もう一度それぞれ観直したくなりました。

中央区民センターで借りました(2002年6月発行)
 
by top_of_kaisya | 2006-09-29 22:57 | 読/見/観