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亀も空を飛ぶ


10年目の改装を済ませた蠍座です。話題の新シートは、噂通りゆったりめ。新しいだけに座り
心地もふかふか。元々、頭まですっぽり埋もれるほど背丈のあるシートを使っているので、幅が
広がると見た目にも大きな椅子になります。

そんな新しい椅子で観る作品にしては、少々重いテーマです。

こちらでいうところのイラク戦争、が始まる前が主題です。地雷原に接する生活が全般的に
描かれます。登場する少年たちは足が欠損していたりしますが、本当に手足を失っている子たち
です。作品の中心を担う子は、「腕のない子」という呼び名で最後まで通されます。

イラクという舞台が、アフガニスタンとだぶってしまいます。「カンダハール」では義足が空から
降ってくるシーンが印象的でした。今作では、義足は物語にまったく関与しません。

大人たちが「腕のない子ばかりじゃないか」と叫ぶシーンがあります。そうした
呼ばれ方を差別だ偏見だ、と批難する場面は出てきません。そうした障害が
日常になってしまっていることが、不幸とか幸福とかを超越してしまっているの
でしょう。逆に手や足の無い子への配慮は、平和な国だからこそできることなの
では、と考えさせられます。その証に、登場する子供たちは、手が無かろうと
足が無かろうと、日常を一生懸命に生きています。弾薬を集めたり、地雷を掘り
出したり。その様子は、さながら開高健の「日本三文オペラ」。

実はこの作品、昨年「亀は意外と速く泳ぐ」と同時期に同じ映画館で上映されていました。
あまりにもかけはなれた2つの作品ですが、亀つながり。

■ 作品紹介はこちら
 
by top_of_kaisya | 2006-04-17 20:30 | 読/見/観