【読後感】 現代棄民考

現代棄民考 ― 山谷はいかにして形成されたか 今川 勲 / 田畑書店

22年前の本になると、図書館でも開架から外されます。
ギリギリ昭和の本ですので、私が卒論を書く頃にはちょうどよい文献、だったはず。なのに参考にするどころかみつけることさえできませんでした。今読んでみると、本書を基にしたフィールドワークにすればよかったかと。ただ本書の姿勢は反体制なので、西成署のおっさんはあれほどにケアしてくれなかったかもしれませんが。

あしたのジョー (1) (講談社漫画文庫) 高森 朝雄 / コミックス著者が都庁の山谷対策室を訪ねるところから、話は始まります。まだ丸の内にあった頃です。私は就職で東京に引っ越してから初めて山谷に行ってみました。西成はようやく歩き慣れてきたところでしたが、山谷の方がイメージとして怖く、そのイメージを助長したのが矢吹丈の世界。行く前に対策室に電話して、現況を聞いてからにしようと。新宿のその担当職員は、突然の妙な問合せ電話にも丁寧に応対してくれました。著者は対策室の職員の横柄さに立腹した場面から、400頁弱の大作を書き上げました。

その大半は、感情が入っているためか読みづらく、多分200頁の新書程度でも充分な内容。衆議員(→衆議院)、強力する(→協力する)、自身(→自信)など誤字だらけ。

先日読んだ「貧民の帝都」は本書から引用しています。
22年前ではまだホームレスという用語は使われておらず、「浮浪者」が多用されています。或いは「街頭生活者」。郷愁感すら漂うほど聞かれなくなった言葉ですが、ホームレスよりもよほど状況を的確に表現しているような。加えて「路上生活者」があれば尚良し。

公明関係サイトから借用昭和30年代、山谷の労働者に仕事が無く、年を越せないと役所に窮状を訴え、急ごしらえのテント村が作られた話も登場します。昨年末の派遣村が、湯浅某による前代未聞の快挙のように報道されましたが、こうした前例を紹介しなかったのは残念。つくづく我が寄せ場学会の力量不足を痛感します。図書館で借りました
 
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by top_of_kaisya | 2009-08-09 15:01 | 読/見/観 | Trackback | Comments(0)
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