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【読後感】 女装と日本人

女装と日本人 三橋 順子 / 講談社現代新書

もう20年も前になりますが大学生時分、新地で皿洗いのバイトをしていたことがあります。
堂島上通の「花紫」というお店です。いたってノーマルな、バブル当時によくある高級クラブでした。が、系列にニューハーフのお店があり、ショーを終えたお姐さんたちがお客さんを連れて流れてくる、という位置付けでもありました。なかに私を気に入ってくれた姐さんがいて(当然男なのですが)、店内では何かと気遣ってくれたり、仕事ではなくても遊びに連れ出してくれたりとかわいがってくれました。ただ、その方は従業員ではなく、水商売に疎い(現在も疎いままですが)学生には彼女(彼)が何者なのかわからず。
著者が本書で述べている立場に近いところだったのか、と推測されます。

「女装」は必ずしも同性愛を意味するわけではなく、いわゆる「新宿2丁目」とは活動エリアや顧客、成り立ちが異なる、といったモロモロの話をはじめ、歴史的・地理的・心理的に切り口をかえて新書なのに400頁近くにわたって「その世界」を分析してくれます。単なる「紹介」ではなく、限りなく学術書に近い軟らかさです。

花紫でのその私の彼女(彼氏)のみならず、出演するニューハーフのお姐さんたちから従業員まで、仕草その他は女性以上に女性らしく見えました。それが生得的な男性である部分を補完し、かつ過剰にならない線でのバランスを保っています。男が求める女性像を具現化し、かつ脳内は男性を維持しているので会話は男同士の内容。その気楽さと嬉しさにはまる男性が多いという点についても、本書ではよく描かれています。図書館で借りました
 
by top_of_kaisya | 2009-07-19 15:07 | 読/見/観