【読後感】 貧民の帝都

貧民の帝都 塩見 鮮一郎 / 文春新書

東京養育院を中心に、日本の江戸末期から現在までの貧困を見通します。

実業家としての成功者・渋沢栄一の、もうひとつの顔がこの施設に現れます。会社経営者が慈善事業に取り組めば、搾取の贖罪と批判を受けるのは、ビッグイシューに携わってみてわかりました。事業規模は全然違うけど。この施設が移転を繰り返し、内容はともかく存在としての”お救い小屋”を維持できたのは、とにかくも渋沢の力と理念によるものでしょう。左の方々はそのように評価なさらないようですが。

著者が序章で「こわれそうな人間」、終章で「こわれかけた人間」と形容する困窮者が、「こじき」として見苦しいからと収容を受けることと、顕在化されずに放置されるのと。

先に読んだ「コスプレ」の読後感が悪いのは、女性著者が「オンナ」の目で同性を蔑視し、日本を卑下する論調によるもの。本書も、チラチラとイデオロギーが入るのが気になります。でも一気に読めたのは、史実をひもとくところにイデオロギーの入り込む余地は無く、ただただ史実としての貧困が存在していたため。明治維新の一時期、東京が無政府状態に陥り、江戸城が「こじき」に乗っ取られた史実は、明治新政府の歴史では隠されがちです。図書館で借りました
 
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by top_of_kaisya | 2009-07-12 16:35 | 読/見/観 | Trackback | Comments(2)
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Commented by nakajima at 2009-07-20 08:42 x
この本を昨日、図書館で借りてきて、ざっと読んでみました。知らないことがいろいろ書かれていて興味深く読めました。江戸城が「こじき」に乗っ取られたことがあったとは、大阪に住んでいますと、ホームレスを見る機会も多いです。井之頭公園のすぐそばに感化院があったというのも興味深くかんじました。かつて、井之頭公園から2キロほど離れたところに下宿していたことがありましたので、
Commented by top_of_kaisya at 2009-07-20 17:45
東京の地理に詳しいと、施設がどのように動いていったかがわかるのになぁ、と思いながら読みました。
それでもあの井之頭公園に、という意外性はありますね(笑)