【読後感】 リアルのゆくえ

リアルのゆくえ  おたく / オタクはどう生きるか
 大塚 英志 + 東 浩紀 / 講談社現代新書

違和感が何なのか、あとがきを読むとわかりました。この対談には注釈がありません。何故無いのか。あとがきを先に読まねばわかりづらい話です。いやあとがきにも注釈は無いのですけどね。基礎知識を持たずに300ページ超の対談を理解できる読者は、近年のヲタ事情と博士号を取得する学識と批評家とは何かをすべて咀嚼しているのでしょう。そんなわけで私は読んでいてわかりません。たまにわかりやすい事例が引用されるとオアシスで一服するよう。

なので本書の楽しみ方としては、8年越しで熱く語るふたりの識者の掛け合いに、いかに面白味を見出すか。なかでも挑発する大塚先生に対し、最初の2年間はのらりくらりと返答していた東先生がとうとうキれる2007年は見もの。

対談は、これくらいスリリングでなければ。赤塚先生のように酔っぱらって途中で寝てしまうのもおもろいけど。ウチ(ビッグイシュー)の中島先生は喋り上手なのでよく対談してます。多くは、仲良しの方で、例えば山口二郎先生だったり。仲良しだからか、議論は白熱しません。たいてい同意から始まり、自分の意見を述べ、それを受けた相手も同感、で以後繰り返し。勉強にはなるけど、そういう対談に限ってバトルチックな、「対決!」みたいな呼び込みをつけたがる。なにかというと「緊急参戦!」とつけたがるバラエティー番組のようで。
つかみ合って喧嘩しろとは言いませんが、少しは東先生みたいになんで僕の言ってることがわからないの?!!と苛立って欲しいもの。

ついで。論座 2007年1月号 朝日新聞社出版局
本書にも登場する「論座」2007年1月号で赤木智弘氏が書いた「『丸山眞男』をひっぱたきたい」なる論文。結局未だ読んでないのですが、山口先生はそれこそ対談のたびに「この論考を読んで後ろからガーンと殴られた気分」と評してました。
それくらいの衝撃と言いたいのでしょうけど、一般には伝わってないでしょう。だいたい掲載された「論座」自体が読まれてないから休刊するんだし。ビッグイシューを取り巻く「貧困を考える」環境もそうだけど、いかに少ない日本人が内輪で盛り上がっているかがよくわかります。論壇なんてそんなもの、批評家なんて必要なの?という問いかけも、本書で自虐的に自問してます。

図書館で借りましたなお、おたくについては「まんだらけ」を一周してから読み込むとわかりやすいかも。
 
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by top_of_kaisya | 2009-01-28 12:53 | 読/見/観 | Trackback | Comments(0)
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